人間は怖いものをわざわざ見たがる癖を持っている。
お化け屋敷。
ジェットコースター。
バンジージャンプ。
そのひとつがテレビに登場する子供合唱団である。今日も見かけた。
実に怖い。
これを芸術活動だと思っているらしい子供も怖い。
指導教師の頭の中も怖い。
そもそもこのような曲を作る人たちも怖い。
それを放送する放送局があることが怖い。それを見る人がいることもさらに怖い。
実際は怖くて鳥肌が立っているのだけれども、素晴らしいです、などと社交している。
この全体がどうしようもなく怖い経験であるが、それがなぜか好まれる。
これはどういう文化なのだ。
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昔NHKのみんなのうたで『トレロカモミロ』があった。子供のころから知っていた。
「トレロカモミロとても寝坊助、闘いよりも昼寝が好き」というご機嫌な歌詞とメロディである。
私は長じて知り合いができた。その人はピアノを弾いて合奏を趣味とする男性である。
実はその人がみんなのうたの『トレロカモミロ』を独唱して録音していた少年だった。
川崎児童合唱団とか武蔵小杉子供合唱団とか、そんなところで歌っていた。
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合唱はいいものだと思う。ヴェルディなどのオペラは素晴らしい。
バッハの受難曲での合唱部分は、そのドイツ語といい、その作曲といい、
キリスト教と深く結びつき、文化の総体、あるいは文化のインテグリティを実感させる。
このような体験から、思想も倫理も宗教も育っている。