下書き うつ病勉強会#114 食欲+睡眠で分類する

一般に月経前症候群(PMS)や月経前不快気分障害(premenstrual dyspholic disorder : PMDD)では 不眠+過眠、食欲低下+過食 で、どのような組み合わせもある。どの組み合わせかではなくて、睡眠と食欲に変動があるということが重要。

ある女性は、生理周期に伴う気分・症状変動があり、「生理前は気分が上がって、眠りが浅くて、食欲が増える一方で、生理中~生理後は、気分がぐっと下がり、強い睡魔が起き、食欲は収まる」という。典型的ではない。

この人の場合は、次のようになる。

生理前 気分上がる、不眠、過食 →躁状態
生理後 気分下がる、過眠、食欲減 →うつ状態+過眠

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改めて考えてみると

躁状態=不眠、過食、気分上がる   →逆植物症状+不眠
うつ状態(メランコリータイプ)=不眠、食欲減、気分下がる =植物症状
非定型うつ病=過眠、過食、気分下がる →逆植物症状+気分下がる

植物症状=不眠、食欲減
逆植物症状=過眠、過食

sickness behavior=過眠、食欲減

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躁状態、うつ状態(メランコリータイプ)、非定型うつ病、植物症状、逆植物症状、sickness behaviorと並べて、睡眠、食欲、気分で分類してみる。

躁状態うつ状態・メランコリータイプ非定型うつ病植物症状逆植物症状sickness behavior
睡眠不眠不眠過眠不眠過眠過眠
食欲過食過食過食
気分上がる下がる下がる下がる下がる下がる
こうしてみると、一致するのは、うつ状態・メランコリータイプ=植物症状 だけのような気がする。

非定型うつ病は逆植物症状であるが、気分の上下が微妙だ。

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躁状態で過眠になれば、うつ状態・メランコリータイプのちょうど逆になるが、そうでもない。

むしろ、メランコリータイプ=植物症状の組み合わせと、非定型うつ病=逆植物症状の組み合わせが逆になっている。

メランコリータイプの逆は非定型だというのも納得できるし、非定型は双極性の成分を持つというのも納得できる。

メランコリータイプの場所を移動してみる

本来は、哺乳類全般で、メランコリータイプ=植物症状は、上図のような場所にあるべきであると思うが、人間のうつ状態の場合には『睡眠』が特別な役割をしているので、食欲減+不眠の場所に行くことになると思う。

ヒトの場合、なぜ順当に、抑うつ+食欲減+過眠にならず(sickness behavior,植物症状の一種)、抑うつ+食欲減+不眠になるのかについては、日内変動が推理の手掛かりになる。

ヒトを含めて哺乳類では日中に活動して夜に疲れ、睡眠して回復し、朝には元気が回復しているのが本来である。ところがヒトのメランコリータイプのうつ病で見られるのは、朝に一番つらくて、夕方から夜になるにつれて気分が回復してゆく日内変動である。そして不眠になる。さらに、昔は断眠療法というものがあって、眠らなければうつが軽くなるという経験もあった。

つまり、寝ている間に、うつを悪化させるプロセスが進行すると考えれば、辻褄が合う。寝ている間に何が起こっているのか。よくわからない。

しかしまた、経験としては、睡眠を十分にとって、夢も覚えていないくらいすっきり眠るということが、うつ病の回復過程にはよく効くらしい。だからレム期を少し抑制するような睡眠の薬を使う。すると、睡眠が、うつを進行させる睡眠ではなく、うつからの回復を助ける睡眠になるような気がする。

睡眠について、レム期とノンレム期くらいしか思いつかないので、苦し紛れに言っているだけではあるが、たぶん、メランコリータイプのうつ病の時の不眠は、うっかり眠るとうつが進行してしまうから、体が反応して、不眠になってうつの進行を防いでいるのだろうと思う。

また、病院で当直明けのお医者さんが妙にmanicな様子もあって、断眠は躁状態に傾ける力があるのかと感じていた。これは個人の印象で、統計的な裏付けはない。これは上記の提案とは反するが、上記はあくまでうつ病の場合である。それ以外の場合は、不眠は躁状態のきっかけになりそうだ。

たとえば、骨にカルシウムなどが定着して骨密度が維持されるためには、ある程度骨への圧迫刺激が必要であるのと同様に、脳も少し圧迫してやれば、反発して躁状態側に振れるような気がする。

そのメカニズムが、メランコリータイプのうつ病の場合には逆になっていると思う。

勝手なことを言っていると思うが、個人のブログの下書きだから許容してもらいたい。