『短編小説礼賛』阿部昭、1986年岩波新書。

『短編小説礼賛』阿部昭、1986年岩波新書。
・ルナール、チェーホフ、マンスフィールドを多く引用しそれらについて言及している。
・「あなたがたは死んではいない、愛する人たちよ。すべては記憶されています。」マンスフィールド。
・何の罪もない子供が、なんでこんなに苦しまなければならないのだろう?どうしてこんなひどい目に会わなければならないのだろう?自分が人生から得たすべてであった孫が、どうして自分から取り上げられなければならないのだろう。なぜこういう悪いことばかりが自分には起こるのだろう。わたしが何をしたというのだろう?
・誰もその問いに答える者はいない。その「なぜ?」は問いであると同時に答えでもあるというように、存在している。
・作家の仕事は問題を解決することではない。この人生をただあるがままに描くことだ。
・仮に神の存在を信じるとしても、その神が善い神ならば、どうして子供たちの苦しみをあんな風に放って置くのでしょう。自分はこの謎に満ちた人生、愛と苦痛からなる人生であらゆるものを愛して生きていきたいと思うが、そのことでさえ謎であり、ただ愛に従って生きているときにのみ自分を正しいと感じることができるからに過ぎない。
・これが人生というものかと認識する。どう解釈するというのでもない。
・「青い空」よりも「空」が良い。