アルプスの少女ハイジは食塩が足りなくならないのだろうか?

海の近くで生きている人は塩分の接種は特に難しくないだろう
山に生きている人は岩塩などが近くにあればいいが、そうでなければ、どうしているのだろう
アルプスの少女ハイジは食塩が足りなくならないのだろうか?
調べてみると、こんな記事

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現代人は「塩中毒」!?
人間が塩のとりこになる驚きの理由

シリーズ「食の起源」。今回のテーマは、命にもおいしさにも欠かせない、塩。ひとふりでどんな料理もおいしくする魔法の調味料だが、おいしいばかりにとりすぎると、動脈硬化・脳卒中・がんなどの怖い病気を招いてしまう。それが分かっていながら、なぜ私たちは“塩の魔力”にこれほど魅了されるのか?その「本当の理由」に壮大なスケールで迫る。

塩はどれぐらいとるのが“適量”?
肉に魚、はてはスイカのような甘い果物まで、塩はひとふりでどんな食物もおいしくしてしまう魔法の調味料だ。「塩の味を楽しむために食事をするのでは」と思えるほど、私たちはさまざまなものに塩を使う。しかし、そんな魔法の調味料であるがゆえに塩をとりすぎると、動脈硬化に脳卒中、がんなどの怖い病気を招いてしまう。

では、どれぐらいの量の塩をとるのが“適量”なのだろうか?厚生労働省が出している摂取量の目標値(2020年版)によると、男性が1日7.5グラム未満、女性6.5グラム未満。世界保健機関の目標値は5グラム未満だ。小さじ1杯の塩がおよそ6グラムだから、1日に小さじ1杯に満たない量と聞くとごく少なく思える。ところが今回、人類の進化から“人間が生きていく上で必要な塩の量”を探ると、これらの目標値でさえ“塩分とりすぎ”かもしれないということが明らかになってきたのだ。

そもそも、私たちの体はどれぐらいの塩の量で生きていけるのだろうか?その答えを教えてくれるのが、アフリカのマサイの人たちだ。

彼らの食生活を見てみると、朝ご飯は搾りたての牛乳だけで、他には何も食べていない。そして夕飯も、搾ったヤギの乳。なんと、1日2リットルも飲むミルクが、彼らの主食なのだ。

ごくたまに肉を焼いて食べることもあるが、塩を振っている様子はない。では彼らはどうやって塩分をとっているのだろうか。

実は、牛やヤギが舐めている「土」に秘密がある。

マサイの人たちは、牛や羊にマサイの言葉で「エンボレイ」と呼ばれる特別な土をなめさせる。実はこの土、「動物たちのための塩」。土をなめると、そこに含まれる微量の塩分が動物の体内に吸収されてミルクに溶け込む。マサイの人たちはそのミルクを飲むことで必要な塩分をとっているのだ。彼らが1日に飲む2リットルのミルクにどれほどの塩が含まれているかというと、わずか2グラムほど。マサイの人たちを見る限り、人間は本来、1日たった2グラム程度の塩でも生きていけるということがわかる。探検家で医師、文化人類学者の関野吉晴さんによると、世界各地に同じように1日1~3グラムというわずかな塩分摂取量で生きている人たちがいて、そうした彼らの古くからの食文化を「無塩文化」とも呼ぶという。マサイの人たちが特別というわけではないのだ。

一方で現代人の私たちは、いったいどれぐらいの量の塩を日々摂取しているのだろうか。国の調査によれば日本人の平均は、およそ1日10グラム。この量の塩を日常的に摂取し続けるとすると、「塩のとりすぎだ」と関野さんは言う。

塩分とりすぎの状態が続くと、血液中に増えた塩分を薄めるために水分(血液の量)が増えて血管を圧迫し、「高血圧」を招く。さらに、そのような状態が長期間続くと、血管が傷つき動脈硬化になったり、脳の血管が破裂して脳卒中を起こしたりする危険が高まるのだ。

それだけではない。最近の研究で、塩分のとりすぎが脳に及ぼす“思わぬ影響”が明らかになってきた。マウスに塩分の多いエサを与え続け、あるとき急にそれをやめてみると、なんと脳の中に「麻薬中毒患者が麻薬を欲しがるときに増える特別な物質(あるタンパク質)」が、多く現れることが確認されたのだ。

「人間でも、塩を多くとり続ければ、脳に“塩を中毒的に求める物質”が増えて、塩をとらずにはいられなくなる危険性があると考えられます」(デューク大学 リートケ教授)

祖先を“塩のとりこ”にした「塩にまつわる2大事件」
どうして私たちは、ときに命を縮めるほど塩の魅力にとりつかれてしまったのか?カギを握るのは、私たちの祖先に起きた「塩にまつわる2つの大事件」だ。

最初の大事件は、なんと4億年以上前にまでさかのぼる。そもそも地球の生命は、塩たっぷりの海水の中で生まれ、進化してきた。そして、塩の主成分である「ナトリウム」を体に取り込んで、生命維持のために使う仕組みを生み出していた。その遠い子孫である私たち人間も、ナトリウムなしでは生きていけない。

たとえば卵子と精子が出会い、新たな命が生まれる受精の直後。受精卵の表面にさざ波のように電気が伝わることで、小さな命が活動を始める。実はこのとき、細胞に電気を伝える引き金となるのが、ナトリウムだ。さらに、私たちの心臓や、脳の神経細胞なども、ナトリウムが生み出す電気エネルギーによって活動している。海の中で生命が誕生して以来、生き物はみな、ナトリウムを使って命を維持する仕組みをずっと受け継いできたのだ。

ところが今からおよそ4億年前、ずっと海の中で暮らしてきた祖先たちに「第1の大事件」が起こる。両生類のような姿にまで進化した私たちの祖先が、誰もライバルのいない新天地である「陸上」へと踏み出したのだ。陸に上がった祖先は、次第に海から離れた内陸へと進出していった。

2億5000万年前ころになると、祖先の姿はさらに進化し、乾燥した陸上で繁殖し始める。ところが、海の中と違って陸の上では「ある大事なもの」が不足していた。

それが、「塩」だ。生命活動に欠かせないナトリウムが足りなくなると、祖先たちは命の危機に直面してしまう。そこで私たちの祖先は、体のある部分を進化させることで塩不足の危機を乗り切った。それは、「舌」。塩の味を感じる舌のセンサーが敏感になり、陸上に存在するわずかな塩分でも感じ取って摂取する能力を進化させたのだ。

これは、舌の表面の電子顕微鏡画像。

無数のひだに囲まれた丸い部分をさらに拡大してみると、小さな穴がある。

その内部に存在するのが、玉ねぎのような形をした、「味らい」と呼ばれる味を感じるための器官だ。

ここに、塩味・甘味・苦味など感じる味ごとに異なる細胞が存在している。中でもとくに私たちの舌で発達しているのが「塩味を感じる細胞」だ。しかも、人間は「味らい」が舌全体で1万個以上もある。今もなお塩にあふれた海の中で生きる魚たちの「味らい」はわずか200個ほどで、しかも塩味にはほとんど反応しない。つまり私たちの舌が「塩を敏感に感じる」ことができるのは、「陸上で生き抜くため」の進化だったのだ。

実は「舌」だけでなく、もう一つ、私たちの祖先が陸上で生きるために進化させた体の部分がある。それは、「腎臓」だ。腎臓の働きは老廃物をこしとって「尿」を作り、身体の外に捨てることだが、その際、体の中のナトリウムのほとんどが、一旦尿の中に出て行ってしまう仕組みになっている。そのまま大切なナトリウムが体の外に捨てられてしまったら大変!そこで私たちの腎臓は、すごい能力を進化させた。

腎臓内部の尿が通る管の表面は、無数の毛のようなもので覆われている。その表面を拡大すると、小さな吸い込み口がたくさん開いている。

この吸い込み口から、一旦尿の中に出てしまったナトリウムを、再び血液中に取り戻すという巧妙な仕組みが備わったのだ。この進化によって、99%以上のナトリウムが血液中に取り戻され、体内には常におよそ200グラムの塩が保たれるようになった。1日に体から出ていく塩分は、尿と汗を合わせても、たった1.5グラムほど。だからマサイの人たちは1日2グラム程度の塩分摂取で健康を維持できていたのだ。

祖先が陸上進出という「第1の大事件」を乗り越えて手に入れた、超高感度の塩センサー・「舌」。そして、体内から塩を逃さない「腎臓」。この「2つの武器」によって、祖先は“わずかな塩でも生きられる体”へと進化したのだ。

人類が「農耕」を始めたことが「塩の大量摂取」の引き金に!?
陸上で生き抜くために、必要最小限の塩で生きられる体を手に入れた私たち。それなのになぜ、いったいいつから、私たちはたくさんの塩をとるようになったのだろうか?

その謎を解き明かすためにやってきたのは、ルーマニア。人類に異変が起きたのはおよそ8000年前。突如、自らの手で大量に塩を作り、とりはじめた証拠が見つかったのだ。

それを突き止めたマリウス・アレクシアヌ教授。人類最古の塩作りの現場は、意外にも地下からこんこんと水がわき出ている場所だという。

実は、この湧き水には、海水の7倍もの塩が含まれている。これを燃やした炭に振りかけて塩の結晶をとりだしたのが、世界で最初の塩作りだったと考えられている。

「一見、原始的な方法に思えますが、8000年前の人々にとって、塩の結晶を作り出すこの技術は、革命的なものだったと言えるでしょう。」(マリウス教授)

一方、日本でも、縄文人たちが驚くべき技術を編み出して大量の塩を手に入れ始めたことが、最新の研究で分かってきた。縄文人が塩作りに使っていたと考えられるのが、浅い海中に生える「アマモ」という海草だという。これをたくさん集めて乾燥させ、燃やして灰にする。

このアマモの灰を土器に入れて加熱すると、温度は400度以上にもなる。そこへ少しずつ海水を注ぐと、たちまち水分が蒸発して効率よく塩の結晶が取り出せることを、縄文人は発見したのだ。それだけ苦労してもなお、大量の塩を手に入れるためには、何時間もひたすら加熱した灰に海水を注ぎ続ける必要があったと考えられる。

わずかな塩でも生きられる体に進化したはずなのに、なぜ祖先たちは、そこまでして大量の塩をほしがり始めたのだろうか?

そもそも、人類が最初に塩を作り始めたのはおよそ8000年前。マリウスさんは、このタイミングに注目した。実は同じころ、祖先たちは穀物や野菜を大量に育てる「農耕」を始めていた。人類が農耕を始めたのは、およそ1万2千年前。それがルーマニアにまで伝わったのが、まさに8000年前。塩作りが始まった時期とぴたり、一致する。さらにその後も、農耕が広まるにつれて各地で次々と塩作りが始まっていったことが明らかになった。なぜなのだろうか?

「農耕を始めたことで、祖先は穀物や野菜を多く食べるようになりました。その食の変化が、塩をたくさんとらなければならないという必要性を高めたと、考えられるのです。」(マリウス教授)

マリウスさんが考える、祖先に起きた「塩をめぐる第2の大事件」とは、こういうことだ。

農耕によってたくさんの穀物や野菜を手に入れた祖先は、それさえあればお腹を満たすことができるようになった。ところが、なぜかナトリウム不足を起こす祖先が増え始めた。大量に食べ始めた穀物や野菜には、ナトリウムがほとんど含まれていないためだ。さらに問題となったのが、野菜などに多く含まれる「カリウム」という物質だ。

カリウムは人体に必要な栄養素だが、血液中に増えすぎると、不整脈を引き起こし、最悪の場合心臓が止まってしまうこともある。そこで、過剰なカリウムを体の外に捨てようとするのが「腎臓」だ。ところが、尿の中にカリウムがたくさん流れてくると、腎臓はナトリウムを体内に吸収する穴を閉じてしまう。こうして尿の中に押し戻したナトリウムを使って、余分なカリウムを体の外に捨てる仕組みになっているためだ。私たちの腎臓は必要なナトリウムを体に取り戻すことよりも、過剰なカリウムを排出すること優先させるのだ。

こうした腎臓の仕組みがあるために、カリウムの多い農作物を食べれば食べるほど、祖先たちの体はナトリウム不足に陥ってしまう羽目に。そこで人間が編み出したのが、ナトリウムの塊である「塩の結晶」を人工的に作り出す「製塩技術」だ。つまり、必死に手に入れようとし始めた大量の塩は、ナトリウム不足を克服するためのいわば“サプリメント”だったと考えられるのだ。

「塩は当時の人々の健康を守るために欠かせない、薬のような存在だったに違いありません。」(マリウス教授)

そしてついに塩は「サプリメント」から「最高の調味料」へ
人類がさまざまな方法で大量の塩を手にするようになると、塩はナトリウム不足を補うサプリメントにとどまらず、「最高の調味料」へと大変身。いよいよ私たちを「塩のとりこ」にしていくことになる。

いったい私たちはいつごろから「おいしさを生む塩の魔力」に魅了され始めたのだろうか。

そんな時代の到来を思わせるのが、今からおよそ2500年前、現在のイランを中心に栄華を極めていた「ペルシャ帝国」だ。まさに人類の美食文化が華開いた時代。すでに塩は肉や野菜など様々な料理の味付けに使われ始めていた。

「塩ブーム」のきっかけとみられるのが、当時この地域で大量に岩塩が採掘され始めたこと。塩の塊がお金ほどの価値を持つようになったと考えられている。

最近、イランで最も古い岩塩鉱山で、ペルシャ帝国時代の祖先が衝撃的な姿で発見された。なんと2400年もの間、岩塩に塩漬けになっていたミイラ、通称「ソルトマン」だ。塩の保存力で、赤い髪の毛や皮膚、爪まで、驚異的な鮮やかさで残っている。発掘されたとき、周囲からは鉄製のツルハシや、岩塩の入った皮袋も見つかった。ここで岩塩を採掘していた際、突然の大地震で生き埋めになったと見られている。

ミイラの細胞を分析したところ、この人物の出身地について驚きの事実が明らかになった。

「ソルトマンは新鮮な海産物を食べて育った人物であることが分かりました。恐らく彼の出身地は鉱山から2~300キロも離れたカスピ海の沿岸です。そこから大量の塩ほしさに、はるばるやってきたと考えられます。」(ドイツ鉱山博物館 ストルナー博士)

海辺なら、塩はいくらでも手に入りそうなのに、なぜはるばるこの地へ岩塩を掘りにやってきたのか。ソルトマンをとりこにした透明な岩塩を分析すると、当時海水から作り出せる塩よりはるかに純度が高いことが分かった。混じりけのない、その鮮烈な塩味は、最高の調味料として人々を魅了したに違いない。命がけでも手に入れる価値があったのだ。

「塩なしにはおいしさを感じられない」舌の仕組み
それにしてもなぜ、祖先はこれほどまで“塩のとりこ”になってしまったのか。その理由は、私たちの「舌」に秘められていた。

4億年前、祖先が陸上に進出した後、私たちの舌は、生きるためにわずかな塩でも探り当てる「超高感度の塩センサー」として進化した。その舌には、単に塩味を敏感に感じるだけではない、不思議な能力が備わっていることが最新研究で明らかになってきた。

舌の表面には、「味らい」と呼ばれる味を感じる器官が、およそ1万個ある。その一つ一つに収められた、さまざまな味を感じる細胞。実はどの味を感じるにも、塩が重要な役割を果たしていたのだ。

たとえば、「甘味を感じる細胞」の表面を拡大してみると、無数のセンサーが口を開けている。そこに糖分が取り込まれると、センサーからの信号が脳に伝えられ、「甘い」と感じる。

ところが最近、甘味センサーの中に、「糖分だけ触れても何も反応しないのに、糖分とナトリウムが一緒に触れたときだけ口が開いて甘みを感じる」という、「特別なセンサー」があることが発見されたのだ。

下の図は、特殊な顕微鏡で撮影した「甘味を感じる細胞」の断面。甘味に反応するほど、緑色に光る。まずは糖分だけを口にした場合の反応は、下の図の右側に示した程度。ところが、ここで糖分と微量の塩を一緒に口にすると、図の左側のように、甘みへの反応がおよそ1.5倍に強まった。「糖とナトリウムが一緒に触れたときだけ口を開く」あの特別なセンサーも反応して、より強く甘みを感じたのだ。スイカに塩を振ると甘みが強くなる理由は、こんな舌の驚くべき仕組みにあった。

同じように、うま味や脂の味なども、わずかでも塩が一緒に触れると、より強く味を感じることが分かってきている。

いったい何のためにそんな仕組みがあるのだろうか?

そもそも私たちの祖先は、ごくわずかな塩でも探り当てる「塩センサー」として、舌を進化させた。塩分はいろいろな食べ物に含まれている。どんな味のものでも、そこにわずかでも塩が含まれていれば、とり逃す手はない。だからこそ、甘味であれうま味であれ、そこに少しでも塩分が伴っていれば、脳をより強く刺激し、「おいしい!もっと食べろ」と促す仕組みが備わったと考えられる。

「塩は『おいしさ』を作り出すコントロールタワーとも言えます。脳の報酬系(快楽の中枢)に働きかけ、より強い嗜好を生むことになるのです。」(九州大学 二ノ宮教授)

おいしさの快楽を得るためには塩も一緒にとらなければならないという「進化のさだめ」に、私たちはあらがうことができない。だからこそ、おいしさを求めれば求めるほど塩をとりすぎ、知らぬ間に脳が“塩のとりこ”になっていく。4億年前から、塩の乏しい陸上で生き延びようとしてきた祖先たちの格闘が、「塩なしにおいしさを感じられない」宿命を、私たちにもたらしていたのだ。

人生百年時代の健康長寿が突きつける「減塩」
塩の乏しい陸上で生きるために、わずかな量の塩でも生きられる体に進化した私たち。しかし、いくらでも塩が手に入る時代になってもなお、塩を求める本能が消えてなくなることはない。そんな塩と人類の宿命が、百歳まで健康長寿を目指そうという現代の私たちに新たな課題を突きつけている。

苦戦を強いられているのが、体内の塩分量を必死にコントロールし続けている、私たちの「腎臓」だ。

これは、年齢ごとの腎臓の大きさを調べたデータ。10代のころを100とすると、20~30代まではほぼ同じ大きさなのに、40代を越えると腎臓が次第に小さくなり始め、機能が衰えていくことが明らかになった。

昭和20年代ころまで、日本人の平均寿命は50歳代だった。そのころまでは、塩をとりすぎてもなんとか腎臓が対応できていたが、平均寿命が延びるにつれ、腎臓はさらに長く頑張り続けなくてはならなくなっている。

「筋肉の場合は、鍛えれば増える。でも、腎臓は鍛えられない。高齢化社会になって腎臓が劣化していくと、もっと健康で長生きするためには、やっぱり減塩ですよね。みんな高血圧とか病気になって塩分を制限されてはじめて減塩するけれど、健康長寿を望むなら、若いころから、病気になる前から始めた方がいい。」(関野さん)

海から陸へと生存の場を求めて進出したことで、「わずかな塩でも生きられる体」へと進化した私たちの祖先。しかしそれゆえに、現代の私たちは塩分をとりすぎて病に苦しむことにもなっている。人類の寿命が延び続けている今、どうすれば長く健康でいられるのか、そのカギを握るのは「塩」かもしれない。

この記事は、2019年12月15日に放送した 「NHKスペシャル 食の起源 第2集「塩」 人類をとりこにする“本当の理由”」 を基に制作しています。