最近の韓国ドラマ

こういう解説があって、なるほどそうだと思う。

初めて日本に韓国ドラマが伝わった2004年頃は、韓国でもドラマは地上波の放送がメインで、主な視聴者は主婦層だった。そのため、内容も家族ものや、「男性がか弱い女性を守る」といった王道のラブストーリーが主流だった。しかし、2011年以降、韓国では地上波より制作や編成の自由度が高いケーブルテレビ局など新しい局が次々と誕生する。多チャンネル化、インターネット配信などで新しい視聴スタイルが生まれ、視聴者は若者や働き盛りの層にも拡大した。これらの変化で、韓国ドラマは大きな転換期を迎える。

特にケーブル局は、この時期、地上波から優秀なドラマ制作スタッフを引き抜き、新しい視聴者層に合わせた、これまでにないジャンルのドラマを次々と制作し始めた。2014年には、ケーブル局制作の『ミセン-未生-』が大ヒットするなど、恋愛要素の無い社会派ドラマや職業モノなど、ジャンルの多様化が進んだのもこの頃である。設定やストーリー展開も、時代や視聴者の変化に合わせたものに進化した。

韓国ドラマは視聴者のニーズの変化に合わせ、その後もどんどん進化を続けてきた。Netflixの登場で、豊富な制作費の確保と、さらに多様な表現が可能となってきている。その最新のトレンドを知るには、毎年開かれる韓国のゴールデングローブ賞と言われる「百想芸術大賞」の受賞結果に注目するとよい。特に、テレビ部門の「大賞」または「作品賞」の受賞結果を見ると、その年のドラマのトレンドを知ることができる。

2020年には、『愛の不時着』『梨泰院クラス』を押さえて『椿の花咲く頃』が大賞を受賞。2019年は『マイ・ディア・ミスター~私のおじさん~』が作品賞を受賞。2018年は『秘密の森』が大賞を受賞している。

これら近年の受賞作に共通してるのが、どれもラブストーリーの要素が中心にはないことだ。『マイ・ディア・ミスター~私のおじさん~』『秘密の森』に至っては、恋愛自体がほとんど描かれていない。3作品とも同時に脚本賞も受賞しており、視聴者を唸らせる脚本力が評価のポイントであることもわかる。

このように、自分の生き方や社会のあり方を考えさせられるような、深いメッセージ性を持った作品が、ここ数年の韓国現地でのドラマのトレンドだ。

最新のトレンドである深いメッセージ性を持った作品が、先ほども紹介した『椿の花咲く頃』『マイ・ディア・ミスター~私のおじさん~』。両作品のテイストは全く異なるが、どちらも「あなたはあなたのままで十分に素晴らしい」というメッセージが込められていて、「明日から頑張って生きよう」という勇気を与えてくれる温かい作品だ。

生き方に対する深いメッセージがありながらも、決して説教臭くなく、エンターテイメント性にも優れているのは、映画『パラサイト』でもお墨付きの韓国コンテンツが得意とするところ。どちらも最終話では脚本力の凄みを見せつけられ、しばらくロスに陥ってしまうほどだ。人生の岐路に立っている時や、誰かに励ましてもらいたい時にオススメな作品である。

そして、現代社会をリアルに描き出した作品でオススメなのが、『ミセン-未生-』『秘密の森』。『ミセン-未生-』は日本でもリメイクされたが、新入社員を中心とした会社が舞台の作品で、韓国で社会現象を巻き起こした。会社で起こるパワハラ・セクハラの問題や、上司と部下の関係性などを描き、働き盛りの世代が共感しやすいポイントが盛り込まれている。

ハラハラするストーリー展開で、エンターテイメント性の高い作品としては、『SKYキャッスル〜上流階級の妻たち〜』『夫婦の世界』

韓国で絶大な人気を誇る制作陣の最新作『賢い医師生活』