「何よりも利益を優先していた」…フェイスブックの内部告発者がアメリカ上院で証言
採録
フェイスブックの元従業員で内部告発者のフランシス・ホーゲンが、アメリカ上院の公聴会で証言した。
この証言は、フェイスブックの問題のある慣行を示す内部文書を彼女がリークした後に行われた。
彼女は、フェイスブックが過激主義や国家分断を止めることよりも利益を優先していたと証言した。
フェイスブック(Facebook)の内部告発者、フランシス・ホーゲン(Frances Haugen)は、ソーシャルメディア大手の物議を醸すビジネス慣行のについての内部文書を暴露した後、2021年10月5日(現地時間)にアメリカ上院委員会の公聴会で証言した。
ホーゲンがウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)に公開した文書には、フェイスブックはインスタグラム(Instagram)が若いユーザー、特に10代の少女の精神的な健康に悪影響を与えていることを知っていたと記されていた。また、2018年のアルゴリズム変更により、センセーショナルで分断的なコンテンツがさらにユーザーに浸透することを従業員が懸念していたことも示されていた。
彼女は、フェイスブックやその他のプラットフォームを連邦政府の規制機関が監督することの必要性を強調する一方で、会社を解体することには反対だと述べた。上院議員たちは、彼女を「アメリカンの英雄」、そして変革の「触媒」と呼んだ。
ホーゲンは発言の冒頭で、フェイスブックは一貫して「自社の利益を優先して」紛争を解決してきたと述べた。
「その結果、より多くの分裂、より多くの害、より多くの嘘、より多くの脅威、そしてより多くの戦闘が生まれている」
「責任はマークにある」
ホーゲンによると、マーク・ザッカーバーグ(Mark Zuckerberg)CEOは、フェイスブックの議決権を持つ株式の半数以上を保有しており、会社に対する絶対的な支配力を持っている。その意味で、フェイスブックが重要な決定を下した際の「責任はマークにある」という。
「現在、マークに責任を負わせることができるのは、彼自身だけだ」とホーゲンは述べた。彼女は、フェイスブックやその他のテクノロジープラットフォームをチェックするために、連邦政府内に規制機関を設置することを提案した。
彼女はまた、規制当局の監視によって「5年後、10年後には、フェイスブックがより収益性の高い企業になるかもしれない」と述べ、プラットフォームは「より優しく、より友好的で、より協調的」になれるかもしれないと語りました。
「それはみんなの利益になるだろう」とホーゲンは述べた。そして彼女は、会社を解体することには反対だという。
「このようなシステムは、たとえ解体されても存在し続け、危険なものであり続けるだろう」
フェイスブックがリアルタイムで回答
フェイスブックのコミュニケーション担当者は、公聴会の進行中に初めて公の場でホーゲンに相対し、プラットフォーム上の子どもの安全性や関連する研究に関する彼女のコメントに対して、「彼女は子どもの安全性やインスタグラムには携わっていない」と主張した。
担当者はその後、ホーゲンが証言した内容の信憑性を疑問視し、議論された問題に関する彼女の主張に同意しないとする企業声明を発表した。
しかし、フェイスブックは「このような状況とは関係なく」インターネットの規制を支持しており、「今こそ議会が行動を起こすべきだ」と述べている。フェイスブックはこれまで、オンラインプラットフォームのルール作りを支持すると述べてきた。
インスタグラム・キッズはいずれ登場する
ホーゲンと委員会のメンバーは、フェイスブックが13歳以下の子ども向けのインスタグラムの開発を「一時停止」すると発表したことが、この状態が長く続いたり、そのようなプラットフォームの計画を永久に破棄することになったりするのではないかと疑念を示した。
「彼らがインスタグラム・キッズ(Instagram Kids)の開発を続けないとしたら、私は本当に驚くだろう」とハウゲンは述べた。
「1年後にこの話をしていないとしたら驚きだ」
そして「フェイスブックは、成長を続けるためには新しいユーザーを見つけなければならないこと、そして次世代も今の世代と同じように夢中になってくれなければいけないことを理解している」とホーゲンは付け加えた。
「そしてフェイスブックは、子どもたちを夢中にさせることで、彼らが優れた自己規制の習慣を身につける前に、それを実現するだろう」
ホーゲンは以前、テレビ番組「60 Minutes Sunday」で、インスタグラムが10代の少女の摂食障害の原因になっていることをフェイスブックは独自の調査で認識していたと語っている。
「フェイスブックが今日の利益を重視した選択をしたために、60年後には骨がもろくなった女性がこの地球を歩くことになるだろう」と、ハウゲンは公聴会で述べた。
ザッカーバーグは提案を拒否
ホーゲンによると、アメリカ大統領選挙を控えた2020年4月、マーク・ザッカーバーグは、潜在的に有害なコンテンツを抑制するために「介入のリストを提示された」が、プラットフォームのMSI(有意義な社会的交流:コンテンツが利用され、共有される度合い)に影響を与えるため、それを採択しなかったという。
「マーク・ザッカーバーグはMSIを減らさないことを選択したのだ」とホーゲンは述べている。この理由について、彼女は「最も有力な仮説」として、「人々のボーナスがMSIに基づいているから」だという。
「もしMSIを悪化させれば、多くの人がボーナスを受け取れなくなるだろう」
「フェイスブックはワクチンに関する誤った情報を阻止できない」
「現在のフェイスブックにワクチンの誤報を阻止する能力があるとは思えない。というのもコンテンツの選別をAIに頼りすぎているからだ」と彼女は述べた。
フェイスブックが投稿を取り締まるために機械に大きく依存していることは、公聴会の中心的なテーマだった。
アメリカン・ヒーロー
マサチューセッツ州選出の民主党のエド・マーキー(Ed Markey)上院議員は、ホーゲンを 「21世紀のアメリカの英雄」と呼び、「あなたが今日ここで行っていることに、我々は感謝している」と述べた。
マーキーと同じように、エイミー・クロブシャー(Amy Klobuchar)上院議員はハウゲンにこう言った。
「行動を起こすべき時が来たと思う。あなたはそのきっかけを作ってくれた」
また、民主党のリチャード・ブルーメンタール(Richard Blumenthal)上院議員は、ハウゲンが名乗りを上げたことは、我が国の模範であり「一人の人間が本当に変化をもたらすことができることを示した」と述べた。