山本義隆が吉野の娘の家庭教師だったとは驚く。
山本の著作、隔作用概念の発展史についての研究をまとめた『磁力と重力の発見』全3巻2003年。近代科学はなぜ西洋に興ったのかという『磁力と重力の発見』の問題意識は、2007年の『一六世紀文化革命』に引き継がれた。さらに続く『世界の見方の発見』(2014年)をもって、なぜ、どのように西欧近代において科学が生まれたのかを追う三部作が完結する。
とある。
目次と簡単な説明を覗いてみると、遠隔力の発見が鍵らしい。磁力は遠隔力として以前から知られていた。重力を同じような遠隔力として発見したのが西洋自然科学の発展に寄与した。しかしニュートンは錬金術のようなものに熱中しているし、歴史の経過を見ても、エーテル説とか、またスコラ哲学とか、混迷の時代が長かったようだ。科学史をたどることは非科学の歴史をたどることのようだ。
しかしここでも、なぜ中国ではなく西洋で、科学が発生したのかの問題はある。ニュートンがいなくてもライプニッツがいたし、気は熟していたのだろう。
前段階として、ペルシャなどでの発展過程がまずあっただろう。そしてそれは西洋にも中国にも伝わっていただろう。だから中国と西洋である程度似たような状況だったのではないかと思われるが、どうだろうか。
なぜ西欧近代において科学が発生したのか。これについては、科学に類似した疑似科学、呪術的なもの、錬金術的なもの、それらがたくさん並び立つ状況だったのではないか。その中から、実験によって、誰でも、どこでも、再現可能な知識として生き残ったのではないだろうか。
しかしそれなら中国でも起こってもよさそうな気もする。それが謎だ。