人間は死の直前になって、
自分は本当は限りなく自由であったことに、
痛切に気が付く。
眠ったように静かに生きてきたことを深く後悔する。
なぜ居眠りしているように生きてきたのか。
なぜ何もしないことを上品だと錯覚していたのか。
死んでしまうことを思えば、
生きている間に、何の制約も気にせず、
遠慮も気兼ねもなく、ただ自分の可能性を試してみることができたはずだ、
理想を求めることができたはずだ。
ただ気がつきさえすればよかった。
この命を授かった幸運と、
死んで無になる冷酷な運命と、
両方を思い比べて、
この命の熱さと自由を感じながら生きることができたはずなのである。
なぜそうしなかったのか。
あなたは眠っていたのである。
あなたはまどろんでいたのである。
死ぬ直前に、一瞬だけ気がつく。
生きることには強度があり深度がある。
その中ではじめて、人間は自分の能力を確認するのだ。
自分に何ができるのか知るのだ。
覚醒しさえすれば人間はもっと輝かしい存在になる。