神戸の震災と左右の箪笥

トルコ・シリア地震の報道。阪神淡路大震災のことを思い出した。

阪神淡路大震災があって数年後、私は震災当時神戸に住んでいたという人に会って話を聞いていた。

震災の話になって、「和室で一人で眠っていた。左右に箪笥があった。あ、地震だと思ったものの、動けずにいたら、片方の箪笥が倒れてきた。もう駄目だと思ったら、もう片方の箪笥が倒れてきて、二つの箪笥が人の字のようになり、私は助かった」とのことだった。

そういうこともあるんですねと驚きながら聞いていた。

それから少しして、別の人と話していた。その人も、震災当時神戸に住んでいた。そして同じように、左右にあった箪笥に命を助けられた話をしていた。

この二人の体験はどのくらい特殊なものなのだろうか。

私が震災の話を聞いた神戸の人はこの二人だけだ。そしてふたりが全く同じ話をしていた。これは特殊な偶然なのだろうか。それとも、この箪笥の話はよくある話であって、私が二人の人から同じ話を聞くのも珍しくないということなのだろうか。

いまでも腑に落ちないままである。

神戸にはこのようなネタ話があって、人に話して驚く様子を見て楽しむとかの可能性も考えたが、もちろん、そのような人たちではない。