社会的空間の脳内地図

人間関係を把握する脳内マップ

 動物には,環境中の自分の位置を把握し,どの方向へ向かっているかを把握する「脳内地図」の作成機能が備わっている。最近の研究から,人はそうした地図作りの仕組みを,物理的空間だけでなく社会的空間の把握にも用いていることがわかってきた。周囲の人との心理的距離や力関係といった抽象的な情報を,複数次元の地図を用いて整理しているらしい。

再録:別冊日経サイエンス252『脳科学の最前線 脳を観る 心を探る』

著者
Matthew Schafer / Daniela Schiller

シェーファーはマウントサイナイ医科大学にて神経科学の博士号取得を目指している。専門は人間の脳における社会認知の神経機構の解明。シラーは同大の神経科学・精神医学の准教授で,変化する環境への適応に必要な感情制御の神経機構を研究している。

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「空間認識のカギ握る グリッド細胞」,M.-B. モーザーほか,日経サイエンス2016年6月号。別冊日経サイエンス218『脳科学のダイナミズム』に収載。

原題名
The Brain’s Social Road Maps(SCIENTIFIC AMERICAN February 2020)

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社会的空間を脳内マップを用いて整理しているというが、それの一部はシゾチームとチクロチームの話で、分裂気質と循環気質という。周囲の人との心理的距離や力関係。シゾチームは心理的距離が遠い。力関係としては外部に立つ。チクロチームは心理的距離が近い。力関係としては集団の真ん中で優位に立ちたい。