下書き うつ病勉強会#59 逃避型抑うつ

逃避型抑うつの臨床的特徴

・20歳代後半~30歳代の高学歴男性に多い。
・基本的には弱力型性格であるが,自己愛は強い傾向のある男性のエリートサラリーマン。
・ある程度過保護な環境に育ち,大学卒業までは目立った葛藤を経験したことがなく,余裕をもってスマートな遊びもできる。
・女性との結びつきが強い(母親との関係が濃厚,姉や妻の援助も受けやすい)。
・入社後,数ヵ月~1年という短期間で実社会の厳しさに直面し,それに立ち向かう努力を容易に放棄し,すぐに「白旗」をあげてしまう。
・抑制や寝込み・出社拒否主体の病像。しかし抑制は,週末の遊びには没頭できるというような選択的抑制。
・軽躁状態(軽躁病エピソード)を呈することがあり,双極H型障害と診断されることがある。
・入院には抵抗するものの,いったん入院すると模範患者となり他患とも活発に交流することもまれではない。
・しかし退院や職場復帰が近付くと再び増悪する。場合によっては解離状態などのヒステリー病像を呈することもある。
・国際的疾病分類に採用された「非定型うつ病」と接点を有する。
・抗うつ薬には一応反応するが,素直に救いを求める姿勢に乏しく精神療法的対応に苦慮することが少なくない。