日本映画「はりぼて」

富山市議会で起きた議員14人の辞職ドミノとその後4年間を描いたドキュメンタリー映画「はりぼて」

当時、自民党1強体制の富山市議会では、政務活動費の不正取得が横行。

問題発覚し、市議会には「日本一厳しい」政務活動費のルールが導入された。「議会改革の成果だ」と胸を張る議員たち。だが、4年前と同様の不正が発覚しても、「毅然として」、誰も職を辞さなくなった。

 映画が活写するのは、議会と当局の姿だけではない。それらを許し、受け入れてきた市民とメディアを含む4年間の実相。ひいては、この国の縮図だ。

記者と権力側のやりとりが純粋に面白い

記者の追及をのらりくらりかわそうとする議員たち。すっとぼけてみたり、すごんでみたり、妙に優しくなってみたり。時に、年齢が親子ほど離れた議員と記者が対峙する場面。

 忍法七変化を操るかのごときセンセイに対し、記者は淡々と質問を重ね、詰めていく。強情なセンセイは気づいたら忍法など捨てて、自分の子には恥ずかしくて言えないような抗弁まで繰り出し、言い逃れを図る。その攻防をカメラはじっと見つめている。残酷なまでに本質が映し出される。

不正発覚後の選挙で支援者に土下座をする長老議員の図

議員が辞めないのは、不正をしても地域住民が支持してくれるから。市民が許すのは、不正をしても地域に貢献してくれる議員だから。