【8月17日 AFP】米ジョージア州で11日行われた共和党の下院予備選で、極右グループ「Qアノン(QAnon)」の陰謀論を推奨し、米国で最も抑圧されているのは白人男性だと主張するマージョリー・テイラー・グリーン(Marjorie Taylor Greene)氏が党主流派を破って当選した。ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領は翌日、ツイッター(Twitter)への投稿で「未来の共和党のスター」と称賛した。
米下院予備選が全国的に注目されることはめったにないし、ましてや現職大統領の関心を引くことはほとんどない。だが、トランプ氏は12日、下院入りがほぼ確実となったグリーン氏を「おめでとう」と祝福し、「マージョリーは何に対しても強く、決してあきらめない。本物の勝者だ!」と褒めたたえた。
グリーン氏が共和党の主流派に快勝したという事実は、11月の米大統領選まで3か月を切る中で、米政治が過激化している現状を浮き彫りにしている。
グリーン氏の支持する陰謀論は、トランプ氏と「Q」と呼ばれる謎の人物が、世界の大半をひそかに支配している悪魔主義や「ディープステート(闇の政府)」、小児性愛カルトと闘っていると主張するものだ。「Q」は隠密に活動する内部告発者で、トランプ政権の内側から、小児性愛カルトや政界の黒幕として暗躍するディープステートのネットワークを暴こうとしているとされる。グリーン氏は2017年、「Qは愛国者だ」と述べていた。
この陰謀論は今、じわじわと支持を広げつつある。そして、共和党の地盤であるジョージア州の予備選でグリーン氏が勝利したということは、共和党指導部が同氏に対する態度──非難すべきか、トランプ氏のように躍進をたたえるべきか──を決めかねてまごついている間に、「Q」の陰謀論がもうすぐ米連邦議会で発言権を持つ可能性が高いことを意味している。
そのとき、どんなことが起きるのか。その一端を、グリーン氏は当選祝賀パーティーで披露した。民主党だけでなく自身の所属する共和党のエリート層をも激しく非難し、自らが左派にとって「最悪の悪夢」になることを約束。報道によれば、公の場で粗野な言葉遣いを好むトランプ氏の政権下でさえ際立つ毒舌ぶりで、民主党のナンシー・ペロシ(Nancy Pelosi)下院議長を「反米主義者」とののしり、「あのビッチを連邦議会から蹴り出してやる」と言い放ったという。