離人感が辛いのはどうしてであるか。
離人感としうのは、簡単に言うと、物事の実感が薄れている状態。
例えば、あなたの今座っている机や椅子の、机の机らしさが失われている、
椅子の椅子らしさが希薄になっている、そんな状態だ。
もう一つ、自分の身体についての離人感があって、例えば、自分のこの右手は本当に自分の右手なのだろうかと疑問に思い、不安が増大し、苦しむ。
一見すると、椅子の椅子らしさが薄くなったからと言って、気にするほどのことなのかなと思うのではないだろうか。
ところが実際には、そのことが辛くて自殺してしまう人もいる。
私見では、離人感も、時間遅延理論で説明できる。
つまり、先に現実の情報が到着してしまい、自分の内部の予測が遅れてしまうため、
能動感が失われるのであった。
それと同じメカニズムで、机の机らしさが失われるのである。
能動感が失われることと、離人感が発生することとに、同じメカニズムが関与していると考えている。
机が机らしいというのは、机について能動的に関与し、反応を予測し、反応が予測どおりであったときに、この机は机らしい机だと納得するのだろう。
それが裏切られ続けるとき、非常に辛く、この世界に関しての信頼感が崩壊するはずである。