始まっている未来 新しい経済学は可能か 宇沢弘文 内橋克人 岩波書店2009年 2021年第14刷

始まっている未来 新しい経済学は可能か 宇沢弘文 内橋克人 岩波書店2009年 2021年第14刷
経済学者とジャーナリストが対談して、それを出版社の社員が文章にまとめたもの。非常に読みやすく、現代日本語としてお手本となる、明晰な文章である。脳が疲れない。むしろ脳がすっきりする。
大江健三郎などは、文章としては芸術的に傾くのであるが、講演記録などになると非常に明快な文章となる傾向がある。
対談記録や講演記録などは必然的にわかりやすく明快になるのだろう。文章としてのひねりがないといえばないし、奥行きに欠けると言えば欠けるとも思うのであるが。
芸術的な言葉で明晰な思考を語るのは無理なのかもしれない。詩的文体で論理的思考を語るのは適さないのかもしれない。
文章は、講演会の原稿を書くようなつもりで書くのが良いと思われる。

話の内容としては、いろいろと面白いことも書いてあるが、薄い感じもする。一般向けなので仕方ないし、そして入門的な話なので仕方ないと思うけれども。詳しくはそれぞれの過去の著作を参照、という気分なのだろう。