「戦争とプロパガンダ」E.W.サイード、2001年、みすず書房、中野、早尾翻訳。

「戦争とプロパガンダ」E.W.サイード、2001年、みすず書房、中野、早尾翻訳。
サイードはエルサレムで生まれた。現在コロンビア大学英文学・比較文化教授。パレスチナ解放運動に深くコミット。アメリカ合衆国のメディアの偏向に抗議。アラブに対する偏見を批判。

本書は2001年9月11日の事件にまつわる状況の記録。なるほど、もう片方からみればこういうことになるのか。

背景としては、1979年ソ連がアフガニスタンに侵攻。ムスリムはイスラム圏への侵攻に反発。各国から義勇兵が参戦、その中にはビンラディンもいた。アメリカは冷戦下で共産圏の拡大を阻止しようと、ビンラディンも含めた義勇兵に軍事訓練、武器供与、資金供与など全面的な支援を行った。これが後々の9.11につながる。

翻訳は少しだけ読みにくい。短いので何とか読める。原文にやや忠実に翻訳するとこうならざるを得ないのだろう。よほどの権威者でなければ、大胆な意訳は困難だ。

アメリカの軍艦リバティ号攻撃事件。シャロンがアメリカ軍部と通じ、示し合わせて、イスラエル軍が、アラブ軍を装ってアメリカを攻撃し、アメリカのアラブ軍への攻撃を誘発する手口。