権利の行使について
現代社会の描写として、権利意識の高まりということが言われて、場合によっては、それが否定的な感情で表現されることもある。例えば、補助金とか生活保護とか手当金などを請求する権利など。
しかしそうだろうか。日本国憲法は、それらよりも遥かに強大な権利を国民に認めている。選挙権である。
たとえば生活保護でいえば、受給を始めたはいいけれど、そのあとでアルバイトをして収入があると、給付金が削減される。それでは勤労意欲がわくはずはない。たいていの人は、労働が生きがいに結び付き、自己肯定感に結び付く。しかし今の制度は、働けば損をするという感覚に陥る。こうした制度は人間を生きがいや自己肯定感から遠ざける、よくない仕組みである。生活保護をもらっていたとしても、働いたらその分報われるような仕組みにできないものかと思う。
老後の年金も同じことがいえる。働いて収入があると年金を減らされたりする。これも、働いたら報われる仕組みのほうがよい。
そのような希望を、政府が考えてくれるまで、国民はただじっと待っていなければならないのだろうか。いや、そんなことはない。投票すればいいのである。参政権を行使すればいいのである。請願権もある。どの人にも自由な発言の権利がある。
制度を利用して何かを支給してもらうだけが権利ではない。国民には制度を制定する権利がある。
ところが、選挙で棄権するから、この大事な権利を行使しないままで終わる。
一番強力な権利を放棄して、政府が与えてくれる温情的な制度について権利を主張するだけである。こんなにおとなしい、政府に都合の良い国民も珍しいだろう。