イーロン・マスク氏がNeuralinkの最新情報として、2020年8月29日(日本時間)に脳とAIを繋ぐ埋め込みチップ「LINK VO.9」(以下「LINK」)と自動手術ロボ「V2」のプロトタイプを発表しました。
マスク氏曰く「LINKは臨床実験できる段階にある」とのことで、FDAの承認を目指しています。
【マスク氏が目指すBMI】
・BMIとは
ブレインマシンインターフェース(Brain Machine Interface:BMI)の略称です。
一言で表すと、脳と情報通信機器をつなぐ技術です。脳波を検出したり、直接脳に電極を埋め込んで脳活動を計測したり、あるいは逆に脳へ刺激を与えたりといった手法により、脳とコンピューターを「つなげる」機器やプログラムのことを指します。
BCI(Brain Computer Interface)と呼ばれることもあります。
・BMIを使ってゲームをすることが可能に!?
このBMIが話題になった事例として、2019年10月に米ピッツバーグ在住の半身不随の患者が、
脳にインプラントした電極を通じて脳信号をコンピューターに送ることで「Final Fantasy XIV」をプレイする様子がYoutubeで公開されました。
手も口も動かさず頭で考えただけで機械が動くため、新しいインターフェースとして注目されています。
【今回の発表について】
Neuralinkが大々的にBMIデバイスを発表しました。
脳とコンピュータを繋ぐ技術なんて、漫画やSFの世界じゃないか!と思う方もいるかもしれません。
しかし、この分野の研究はものすごいスピードで進んでいて、決して非現実的ではないのです。
今回はLINKの発表についてフォーカスをあてていこうと思います。
LINKのチップは、手術用に頭蓋骨に開けられた穴に蓋をするように収めて、患者の体温・血圧・運動状況などを監視し、脳卒中や心臓発作などの早期警告を提供するとのことです。
データ通信もワイヤレスに対応しており、頭からのケーブルを機会に繋いでおくといったこともする必要はありません。バッテリーが内蔵されており、寝ている間などにワイヤレス充電が可能とのことです。
マスク氏は以前からヒトの臨床試験についても触れていましたが、今回の発表デモでBMI装備を埋め込まれていたのはヒトではなく豚でした。
豚の頭蓋骨はヒトと似通っているものがあるため、今回豚が対象となったそうです。
LINKを埋め込んだ豚から計った神経信号・脳の動きが、リアルタイムで表示されていました。
マスク氏はこのデバイスが一般に普及されるときは、初期こそかなりの高額になるがいずれ数千ドル程度には収まると語っており、「レーシック手術のように部分麻酔で気軽に日帰りの手術を受けられることを目指す」とも語っています。そのために、自動手術ロボ「V2」も一緒に発表されました。