カテゴリ | メランコリー親和型 | ディスチミア親和型 |
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年齢層 | 中高年層 | 青年層 |
関連する気質 | 執着気質(下田) メランコリー性格(Tellenbach) | Student apathy (Walters) 退却傾向(笠原)と無気力 |
病前性格 | 社会的役割・規範への愛着 規範に対して好意的で同一化 秩序を愛し、配慮的で几帳面 基本的に仕事熱心 | 自己自身(役割ぬき)への愛着 規範に対して「ストレス」であると抵抗する 秩序への否定的感情と漠然とした万能感 もともと仕事熱心ではない |
症候学的特徴 | 焦燥と抑制 疲弊と罪業感(申し訳なさの表明) 完遂しかねない“熟慮した”自殺企図 | 不全感と倦怠 回避と他罰的感情(他者への非難) 衝動的な自傷,一方で“軽やかな”自殺企図 |
治療関係と経過 | 初期には「うつ病」の診断に抵抗する その後は、「うつ病」の経験から新たな認知 「無理しない生き方」を身につけ、新たな役割意識となりうる | 初期から「うつ病」の診断に協力的 その後も「うつ症状」の存在確認に終始しがちとなり「うつの文脈」からの離脱が困難,慢性化 |
薬物への反応 | 多くは良好(病み終える) | 多くは部分的効果にとどまる(病み終えない) |
認知と行動特性 | 疾病による行動変化が明らか 「課長としての私」から「うつを経験した課長としての私」へ (新たな役割意識の獲得) | どこまでが「生き方」でどこからが「病状経過」か不分明「(単なる)私」から「うつの私」で固着し,新たな文脈が形成されにくい |
予後と環境変化 | 休養と服薬で全般に軽快しやすい 場・環境の変化は両価的である(時に自責的とな る) | 休養と服薬のみではしばしば慢性化する 置かれた場・環境の変化で急速に改善することが ある |
10年後,20年後のわが国の抑うつの臨床はどうなっているのであろうか? その頃には,「他責」主体であった彼らの世代の抑うつも「自責の病理」を主体とするメランコリー型うつ病を呈するようになるのであろうか?もしそうでなければ,青年期だけでなく中高年期にあっても「他責の病理」が臨床を席捲する時代となってしまうことになる.