「日本語の文法を考える」大野晋。岩波新書53。1978年。

「日本語の文法を考える」大野晋。岩波新書53。1978年。
自分が普段無意識に当然と思って使っている言葉について、分析とか成り立ちとか理由を提示されると目が開かれる。
精神構造と言語は不可分だろう。平安から鎌倉に至る時代に、平安貴族は自分たちの権力闘争を自分たちで解決できず、武士の力を借りた。そこから武士の台頭が始まり、関東の精神構造と言語が京都の精神と言葉に侵入する。

一言で日本語と言っても、いまでも奥地の山間部では人々がかなり古い言葉を使い、古い発音を保持していることなどを考えると、精神構造も、古いものが保持されている部分があるのだろう。

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大野先生は文章の芸術家ではないけれども、文章は日本語として素直で癖がなくて読みやすい。
ピアノでたとえれば、芸大のピアノ科の演奏ではなくて、楽理科の学生のピアノ演奏のようなものだろうけれども。それでよい。