「信仰への旅立ち 読書のすすめ」宮田光雄、1982年。新教出版社。
宮田光雄は東北大学法学部教授、プロテスタントの立場で大学生など若い人に向けてのキリスト教入門書を書いている。本書はキリスト教を学ぶにあたっての大学生向けの読書案内である。「罪と罰」ドストエフスキーや「沈黙」遠藤周作、またルターやボンヘッファー、カール・バルトなどが取り上げられている。
「我と汝」マルティン・ブーバー著が取り上げられている。短い紹介である。懐かしい。この本は神秘主義的な気分で読むと没入できる。体験を味わうことができる本である。私はみすず書房版で読んだ。ほかに岩波文庫と講談社学術文庫にある。そのような本としては例えば井筒俊彦『意識と本質――精神的東洋を索めて』などが記憶にある。うまくいけば、神秘主義・宗教的体験とはどのようなものかが少し味わえる。
キリスト教に触れるものとしては北森嘉蔵があげられる。代表的なものは「神の痛みの神学」である。もっと軽く読みたいときは「憂いなき神 聖書と文学」が読みやすい。
私の現在の気持ちとしては、宗教多元主義 Religious pluralism に近い。諸宗教は、宗教的な「実在」(つまり神)に対する異なる仕方でのアプローチである。諸宗教は対立的な関係ではない。エベレスト山頂に至るためにはいろいろな道があるのと同じである。
ジョン・ヒック『神は多くの名前をもつ-新しい宗教的多元論』『宗教がつくる虹』が有名で読みやすい。ほかに『もうひとつのキリスト教:多元主義的宗教理解』『宗教多元主義:宗教理解のパラダイム変換』などが翻訳で読める。
三浦綾子でキリスト教に触れたという人も多いのではないか。『氷点』
渡辺和子のエッセイも参考になる。『渡辺和子著作集1-5』がいいと思う。『愛することは許されること』など単行本はどれも読みやすい。