『道しるべ』タグ・ハマーショルド、鵜飼信成訳、1967、みすず書房。原著は1963年

『道しるべ』タグ・ハマーショルド、鵜飼信成訳、1967、みすず書房。原著は1963年、スウェーデン語。
国連事務総長だった人。ノーベル賞の文学賞の選考にかかわっていた。
1967年の本だから古本屋で見つけた本だ。だいぶ古い。
著者のプライベートな日記にあたるのだが、事柄を書いたものではなく、折々の思索が中心である。自省や信仰についての言葉が多い。1925年から1961年まで。おおむね短文が多く、1958年からは詩の形が多い。
聖書からの短い引用だけのこともある。エズラ・パウンドの孔子からの引用などもある。祈り、神、魂、エックハルト、パスカル、成熟、謙虚、寡黙、子供などの言葉。
一気に通読するような性質の本ではない。一つ読んでしばらく味わう。意味や連想が形成されるまでしばらく待つ。

そこでは一切が単純になり、そしてもはや選択の余地がない、といった地点がある。人生における帰還不能点(Point of no return)である。
そこで振り返ればおまえが賭けたあらゆるものが無に帰してしまう。